Goldwin Play Earth Fund PORTFOLIO INTRODUCTION
Vol.3Solarcore®
モコモコな冬服にサヨウナラ。NASAの技術で実現する新しいインサレーション。
ー まずは、Solarcore®を創業することになったきっかけから、教えてください。
マークスベリー:大学時代、スイスのアルプスでバックパッキングをしていたんです。季節は冬で、とにかく寒かったので、暖かく過ごすために服を何枚も重ね着していました。ただ、重ね着しすぎて見た目はもうミシュランマンみたいにモコモコで…。そのときに「もっと快適に暖かさを保つ方法があるのでは?」と思ったのがきっかけです。
ー たしかに、多くの人がその問題を抱えているように思います。
マークスベリー:そこからアメリカに戻り、同じ大学の友人であり現在の共同創設者兼COOであるリトヴィク・ヴェンナと一緒に、インサレーションについての調査を始めました。すると、おっしゃるように、多くの業界で「どうすれば厚みを抑えつつ、効果的に断熱できるか」という課題に直面していることを知ったんです。
ー そこから、独自の素材を開発することにいたったわけですね。
マークスベリー:そうです。幸運にも僕はAstronaut Scholarship Foundation(科学技術分野で将来性のある大学生を支援する財団)の支援を受け、NASAの技術である「エアロゲル」について学ぶ機会を得ました。エアロゲルは軽量で多孔性の物質で、99.8%が空気なのですが、火星探査機などにも使用されるほど、最高レベルの断熱材です。一方で非常に脆く、扱いが難しいという問題があったんです。そこでリトヴィクとともに、この素材を柔軟で、耐久性のある素材にするための研究をした結果、新素材である「Solarcore Foam(以下、Sc_Foam)」が誕生しました。
ー Sc_Foamは具体的に、どんな素材なのでしょうか?
マークスベリー:Sc_Foamは、 薄さと高いインサレーションを両立させた複合材料です。そして、僕とリトヴィクはまずアパレルブランド「OROS」を立ち上げ、この技術がアパレル業界に革命をもたらすことを証明したんです。
アウトドア業界からエアバスまで。世界が注目する断熱革命。
ー 今春、Goldwin Play Earth Fundから出資を受けることが決まりましたね。
マークスベリー:とても光栄に感じています。この出資で、さらに僕らの研究は進歩するだろうと感じています。
ー 現在、Solarcore®に出資しているのは、どんな企業があるんでしょうか?
マークスベリー:ヨーロッパの航空宇宙企業「エアバス」のベンチャー部門や、アメリカのアウトドア用品店「REI」、 CIAの天然資源部門の元長官ハンク・クランプトンが設立した「Crumpton Ventures」などです。名誉ある投資家やパートナーに支えられています。そして、僕たちのアドバイザー兼取締役会のオブザーバーであるハップ・クロップ氏(ザ・ノース・フェイスの創業者)にもご協力いただいています。彼の豊富な知識と経験から学ぶことも本当に多いんです。
ー Goldwin Play Earth Fundの出資が決まるまでの経緯についてもお聞かせください。決定までの話し合いで、印象的だったことはありますか?
マークスベリー:Goldwin Play Earth Fundは、僕たちの技術に対して非常に丁寧な審査を行ってくれました。投資決定前には、アメリカにあるオフィスに実際に訪れてくれましたしね。地球の反対側から会いに来てくださるその姿勢には、こだわりや情熱を感じました。
ー ゴールドウインの事業や理念に共感できる内容はありますか?
マークスベリー:先日、富山にある研究施設を見学する機会をいただいたんです。そこでは、製品の品質を追求し、利用者の生活の質を向上させようとするゴールドウインの姿勢が感じられました。とても共感できましたし、僕たちと通ずる部分がとても多かったですね。
ー ゴールドウインとSolarcore®が協業することで、アウトドアウェアはどんな進化を遂げていくのでしょうか? また、それによって人々の生活が変わる可能性はありますか?
マークスベリー:僕たちは常に「より暖かく、より軽く」を目指しています。なので、この協業によって素材開発が進むことで、いつもの服がより身軽に、より暖かくなって、日常がいま以上に快適になっていくはずです。
ー ありがとうございます。最後に、今後のSolarcore®のビジョンを教えてください。
マークスベリー:服だけでなく、この技術をいろんな分野で活用していきたいと考えているんです。住宅や電子機器、航空宇宙産業など、断熱材を使用するすべての分野で、僕たちの断熱技術が活かせる未来を目指しています。